病気について

このページでは、雷ちゃんの持ついくつかの病気について説明します。

雷が病気だと知った時、医学辞書やインターネット等で調べてはみましたが、

ダンディー・ウォーカー症候群についての情報がとても少なく、その上専門用語等も交えてあり、とても理解に苦しみました。

ですので、これまでに得た私なりの少ない知識ではありますが、少しでもみなさまの参考になればと思います。

また、各説明の後にそれぞれの内容についてのリンクを貼らせて頂いておりますので、

もっと詳しく知りたいという方は、そちらの方にもアクセスしてみて下さいね。

＜雷星の頭部ＣＴ写真と雷星の状態＞

雷星の脳室（大部分を占めている黒く見える所）はかなり拡大しているのがわかると思います。

通常の脳や脳室の大きさがわかる写真があればもっとわかりやすいのですが、

ほとりに薄く残っているのが、徐々に脳室に溜まっている脳脊髄液に圧迫され、少なくなった雷星の脳です。

雷星の脳幹は細く、脳梁欠損がみられ、小脳虫部は低形成、大脳にはほとんどシワがありません。

また、視神経は萎縮し、かなり色が悪くなってると言われています。

主な疾患に、ダンディー・ウォーカー症候群（合併症で水頭症）、滑脳症、脳梁欠損症、点頭てんかんがあります。

染色体検査ではＸ染色体上に逆位が認められ、長らく母親の私自身、ミラーディッカーだと思っていたのが違っており、

実際はＤＣＸと言うまた複雑なものでした。

筋緊張は強く、プリミドンと言う薬である程度抑えてはいます。

体温調節ができず、放っておくと高熱や低体温になってしまうので、常に管理が必要です。

中枢性の睡眠時無呼吸症があり、特に寝始めに呼吸を止め、

ＳｐＯ２（体内の酸素濃度）が７０代（通常１００％）前後にまで下がります。

１〜２才の時にかけて心肺停止状態を引き起こす徐脈を定期的に起こしていましたが、

雷星はカル二チン不足だった様で、エルカルチンと言うお薬を１日３回摂取する事でこの徐脈は治まりました。

また、通常は気管支拡張に用いるホクナリンテープの副作用を利用し、

心臓の真上に張る事で、心臓の動きが良くなればと試して続けています。

上記の徐脈が起こった事や、睡眠時無呼吸症の悪化、体調を崩した際の事等含め、気管切開を行っています。

気管切開を行った当初は呼吸器が手放せず、また痰吸引も頻回でしたが、現在は体調が良い時であれば、

呼吸器は全く必要ない状態で、痰吸引については、雷星は唾液の分泌が多い時や風邪をひいた時等多くなります。

在宅ではＬＴＶ９５０と言うレスピレーターを必要時使っており、安全の為酸素も日々使用しています。

食事は嚥下困難な為、しばらく鼻から胃へカテーテルを通して注入していました。

しかし、胃液や胃の内容物、胆汁が逆流して誤嚥に繋がる為、十二指腸にもカテーテルを通して注入していました。

また、胃の動き（蠕動運動）がかなり悪く、後に胃食道逆流症が認められたので、胃婁のオペをし、

それと同時に胃の上部を少し縛る手術もしていただき、その後は逆流する事はなくなりました。

腸の働きも悪く、自力での排便が困難なので、1日３回の浣腸を行っています。

腹部のレントゲンを撮ると、腸内にはガスがいっぱい溜まっています。

時折、低血糖を起こす事がありますが、この原因はまだつかめていません。

数ヶ月続いている下痢の原因もいまだ不明です。

生活リズムは整っておらず、以前は２日寝て２日起きていたりは日常茶飯事でしたが、

夜間にトリクロを注入して眠らせてあげる事で、ある程度改善されました。

★ダンディー・ウォーカー症候群について★

ダンディー・ウォーカー(Dandy-Walker)症候群について雷ちゃんの例で説明すると、雷ちゃんがお腹にやどった初期に突然変異など何らかの原因で遺伝子・染色体異常が起こり、脳脊髄液の流れに関わる小脳虫部の低形成により、胎児が育っていく過程で毎日作り出される脳脊髄液の流れや吸収のどこかにも異常が現れ、水頭症を生じ、脳脊髄液が脳室に過剰に溜まり、脳室が拡大して大脳や小脳を圧迫し障害を生じたりします。小脳は鍵のマークのようなかたちに割れた状態にとどまり、大脳は日に日に少しずつ脳室に増えてくる脳脊髄液によって、だんだんと脳の実質が失われてきます。脳室は第１〜第４脳室まであり、雷の場合、この全ての脳室に髄液が溜まってきているので、大脳、小脳の他に、中脳、間脳、脳幹・延髄等にも障害をきたしています。それにより、体温調節がうまくできなかったり、中枢性の睡眠時無呼吸を起こしたりするようです。その他にもさまざまな症状が出てきますが、これらは雷を例えた１つの例で、ダンディー・ウォーカー症候群と言う病気を持ちながらも元気に学校に通っておられる方もいらっしゃり、この病気の症状については人それぞれの様です。原因についてもはっきりとした事はわかりません。治療法については、水頭症を合併している場合にシャント手術等が適応されるようですが、雷の場合体力的に難しいのと、先天性のものなのでお腹の中にいる時から脳室に水が溜まりはじめており、シャント手術等により髄液を抜いても一度失った脳の実質は改善されないと言う事で適応されません。なので、今のところ現在の状態を維持していくというのが精一杯です。なんとか早く良い治療法が見つかって欲しいと願います。 　

★個人ホームページ”OH脳HomePage”ではダンディー・ウォーカー症候群等についてMRI写真を用いて詳しく説明してあります。

その他、役立つリンク等もありますのでこちらの方もどうぞ。↓

URL:http://user.shikoku.ne.jp/tobrains/index.html

★脳梁欠損（のうりょうけっそん）について★

脳梁欠損には、部分欠損や完全欠損があり、その度合いも人それぞれのようです。雷の場合は先天性の部分欠損で、MRI写真で診た結果本来あるべき脳梁の一部が欠けていました。この脳梁欠損はダンディー・ウォーカー症候群とも合併して起こるらしく、精神遅滞や痙攣等を引き起こす１つの原因になっているようです。

脳梁欠損症と立ち向かうために設立した、交流サイトです。

交流掲示板、チャット、メーリングリストｅｔｃ設立してあります。同じ障害で悩んでるパパママいましたら、遊びに来てください。

★点頭てんかん（ウエスト症候群）について★

点頭てんかんにおける発作は、他の種類の発作と比べ困難なもののようです。雷星は生後２ヶ月の時MRI写真を撮った後痙攣が起こり、その後診察してもらった結果点頭てんかんだとわかりました。今思えば生まれて間もない頃から軽く怪しい動きをしていましたが、てんかん発作等の知識が全くなかった私はそれをすぐに発作だと見分ける事ができませんでした。雷の場合は生後半年頃までシリーズ（繰り返す同じ動きを１つにまとめた単位）型の発作を１日に何十回も起こしており、眠っている時以外はほとんど発作が出続けている状況でした。頭と共に目を右上や左上に動かし、腕や足も上下に動かしていました。一回一回の動きを数えると、初めの頃は１日に１０００回前後発作による動きがありました。日によって発作が起こる回数や時間帯もさまざまですが、主に寝起きや大きな音に驚いた時によく起こり、寝ている途中急に目覚めて発作が始まるという事もしょっちゅうでした。また、右脳と左脳によりそれぞれ違った発作が出るため、２種類のパターンに分かれて交互に発作が出ていました。これらの原因として、脳梁欠損や滑脳症が挙げられているようです。治療法としては、主に脳波の検査を定期的にして、抗痙攣薬の調節で発作を抑えていきます。しかし、完全にこの発作を抑えられるという事は難しく、数ある薬のうちどれが一番適しているかを見つけるまでには時間を要します。また、雷のように頭に奇形がある者にとっては危険な薬もあり、無呼吸を悪化させ、SpO2、脈拍共に低下させてしまうものや、その他の副作用も出るものがあります。雷の場合、メイラックスという薬を使った時にその症状が出てきました。そして、抗痙攣薬は使い始めてすぐには効かなかったり量的にも徐々に調整していかなければならないので、根気がいります。試してはみたけど最終的に合わなかったという場合にも、徐々に薬の量を減らしながらやめていかなければなりません。効き目や副作用の軽い薬から始めて、キツイ薬は大きな発作が出たり現在効果のある薬が後々効かなくなった場合に残しておくというのが基本のようです。また雷は、肝機能の悪化により高熱が出た事等をきっかけに、それまで頻発していた発作が急にほとんど起こらなくなりました。脳波の方も比較的穏やかになり、逆に落ち着き過ぎて元気のない脳波も出ていました。そして現在は以前の発作はおさまり、また違うかたちの発作が出ています。熱が38度5分を超えた時や、体調が優れない時によく起こります。しかし、時間的にも回数的にもこの発作が起こる頻度は少なく、薬もプリミドンとエクセグラン、坐薬のフェノバールの３種類である程度落ち着いています。この発作の特徴として、まず目をパッチリとあけて体は静止状態になります。そしてその後、大きな発声をしながら手足を上下に動かします。そして最後に腕を１回大きく振り上げ泣いたりします。これらはだいたい１分程度でおさまります。その他いまだに表には出てきていませんが、雷の脳波上で、呼吸を止めてしまう発作の脳波も出ていました。この発作は前に述べてあるものとは違い、命に関わるものなので危険だという事です。この発作が一生出てこない事を願います。これらについては雷星における１つの例にしか過ぎません。日頃からお子様の様子をしっかりみてあげて、怪しい症状等気になる場合は早めに専門の病院で診てもらう事が早期発見、早期治療に繋がる事と思います。

てんかんについての事や、闘病記等が書かれてあります。

掲示板での交流もできるので、御覧下さい。

★滑脳症（かつのうしょう）について★

滑脳症とは、簡単に説明すると、脳の表面に本来あるべきシワ（脳回）がないという病気のようです。滑脳症にもいろいろあり、雷は滑脳症�T型です。雷の場合もMRI写真で診たところ全くと言って良いほど脳にシワがありませんでした。根本的な原因としては、突然変異等、遺伝子の異常によるもののようです。症状としては筋緊張や痙攣等があり、雷もこの２つに悩まされ続けています。

「かしゃべビルーム」は滑脳症と闘っている、かしゃさんの子供さんのホームページです。

そして、そのかしゃさんを代表とした「滑脳症親の会　lissangel」のホームページにもつながっています。

積極的にさまざまな活動をされており、雷ちゃんについてもご協力下さる心強いサイトです。

愛情がいっぱい感じられますので、ぜひ行ってみてください。

★視神経萎縮（ししんけいいしゅく）について★

視神経萎縮は、視神経が病変したり、周囲から圧迫されることにより引き起こされるようです。雷の場合も水頭症等により視神経が周囲から圧迫され、徐々に萎縮してしまったようです。雷は生後１〜２ヶ月頃にはカメラのフラッシュに反応を示していましたが、その後３ヶ月以降にはフラッシュには全く反応を示さなくなり、かなり眩しい太陽の光くらいしか見えない様子でした。現在も視力はその程度を維持しています。視神経は一度萎縮すると元に戻ることは難しく、また、萎縮した視神経は白っぽく変色してしまうと言う事です。しかし子供の場合、３歳頃に視神経が良く発達していくらしいので、それまで望みを捨てず、雷に少しでも明るい世界を見せてあげたいと願っています。

★胃食道逆流について★

胃食道逆流症とは、その名の通り、胃に入ったものや、胃液等の内容物が食道へ逆流するというもののようです。雷の場合、原因についてははっきりしていませんが、恐らく筋緊張等により腹圧がかなりかかる事が１つの原因ではないかと言う事です。特に気管切開をする以前は、抱っこした時によく「ウ゛ェ〜」と言う大声を出しチアノーゼが出て、酷い時には呼吸を止めてしまう事もありました。気管切開後は呼吸面も安定し、チアノーゼが出る事もなくなったので、呼吸面についても何か逆流と関係しているのではないかと思われます。しかし、体調が優れない時に吐き気、嘔吐の症状がある事は気管切開をする以前、以後と変わりなく、それらが逆流によるものだと言う事がはっきりしていなかったため胃食道逆流についての検査をしてもらいました。検査内容としては鼻から入れてある栄養チューブから胃にバリウム等を注入しその通りを診る胃食道造影検査と、鼻から専用のチューブを通し、ペーハー濃度により逆流を推測する２４時間pHモニタリングを行いました。その結果、雷は胃食道逆流があることを認められました。逆流の度合いとしては軽度のものらしいのですが、二次災害として気管への誤嚥の危険性が高いと言う事でした。以前にも他の病院で何度かこれらの検査を受けていましたが、その時にはpH濃度もほぼ正常で逆流が認められなかったので、逆流を早期発見する１つのポイントとして、体調の優れない時等検査のタイミングが重要であると思います。また、胃食道逆流の治療として、胃を縛り、食道と気管をくっつけ、完全に逆流、誤嚥を止めるという様な方法もありましたが、雷は胃での消化・吸収、蠕動（ぜんどう）運動がスムーズにいっておらず、胃から腸への通りも悪い為、その方法だと胃にますます内容物が溜まる一方になる事が予測されるので、胃を完全には縛らず、ある程度食道からの通り道を空けておき、また、腸への通り道を広げると言う方法で手術を行いました。そしてそれにプラスして鼻から通していた栄養チューブの代わりにお腹から胃に穴をあけてカテーテルを通す、胃ろうの手術も同時にしていただきました。術後の経過としては、吐き気、嘔吐共にほとんどなくなり、その点では現在良好であります。

★筋緊張（きんきんちょう）について★

筋緊張は病気によって亢進する場合と低下する場合があるようです。雷の場合は亢進する方で、身体に力が入り顔を真っ赤にし、筋緊張の亢進状態が長く続くと筋肉が痙攣を起こす事もあります。雷は生後間もなくから上半身を起こして腹筋をする様な動きをしていました。また、握力も強く、足のツッパリも激しいものでした。そして現在もなおこの筋緊張の亢進に悩まされていますが、当初に比べて内服（プリミドン）によりある程度は落ち着いています。この原因としては、やはり雷の持つ疾患の中に隠されているようです。また、雷は筋緊張等により身体が硬くなっていくので、リハビリ療法が受けられる状態の時は専門の園に通わせています。

★嚥下困難（えんげこんなん）について★

嚥下困難とは、口から入ってくる食物や唾液等を飲み込む事が困難であることのようです。雷も嚥下が困難で、生まれてからほとんど栄養カテーテルによる経管栄養で育ってきました。何度か専門医に診てもらい、口からの食事に挑戦した事もあり、ミルクは１回につき最高２００ccまで飲めていた時期もありました。また、離乳食も少しながら食べれるようになった時期もあり、その際にはトロミをつけたものを食べさせていました。しかし、気付かぬうちに誤嚥していてり、体調不良等により危険な為、また口からの栄養は摂る事ができなくなりました。母親である私は雷の嚥下困難について訓練していけばいつか良くなるのではないかと甘い考えを持ち、雷に無理をさせていた部分がありました。しかし、雷には雷なりのペースがあるんだと考え直し、雷に適した食事の摂取方をその都度医師が考えて下さっています。

★遺伝子・染色体異常について★

遺伝子異常は、遺伝によって受け継がれたり、突然変異等により新たに起こる事があるようです。雷の場合は、突然変異により遺伝子が組み変わり、また、ちぎれた遺伝子が逆方向に(腕内逆位)くっつくと言う様な事が起こっていたようです。雷は遺伝子検査の結果、17番染色体異常のミラーディッカー症候群で、原因についてはよくわかりませんが、これらの事をひきがねに、脳や神経にさまざまな障害が出てきた事については見るからに明らかの様でした。今後、このような遺伝子の異常を防ぎ、また、変異した遺伝子を正常に戻す事ができるようになれば、雷の病気の進行も止められるのではないかと私は思います。そんな日が早く来てくれる事を願います。

このサイトはニーマンピック病と言う遺伝子の異常によって起こる疾患について書かれてあります。

その中で、遺伝子の突然変異等についても詳しく書かれてあり、とても勉強になるホームページです。

★中枢型睡眠時無呼吸症候群について★

中枢型睡眠時無呼吸症候群とは、脳の障害により、呼吸をすると言う指令がうまく出せないというもののようです。雷も寝入りばなや、ボーっとしている時、この無呼吸状態に入ります。無呼吸状態が長く続くと、唇や顔色が紫のような色になり、血中の酸素飽和濃度や脈拍が低下していきます。そして、最悪な場合、心臓の活動を止めてしまいます。雷はこういった無呼吸症状の防止策として、気管切開をして呼吸器をつけています。しかし、ダンディー・ウォーカー症候群に伴う水頭症が徐々に進行している為、それと共に呼吸中枢が障害され、この無呼吸状態も徐々に悪化傾向にあります。

＜＊あとがき＊＞

このページに記載されてある文章の内容につきましては、ごく一般人である母親が雷星について説明した１つの例にしかすぎません。

人それぞれ病気の状態、症状等は異なりますので、

これらの内容が全て皆様にあてはまると言う訳ではございませんのでどうかご了承ください。

また、上記してあります内容について詳しく書かれてあるホームページをお持ちの方のリンクを募集しております。

専門の知識をお持ちの方や、同じ病気・症状をお持ちの方からの情報提供等も心よりお待ちしております。

お手数おかけしますが、メールの方によろしくお願いします。

メール：help1_raisei@infoseek.jp